最近よく見かけるようになりました、通称「ゼロゼロ物件」。
要するに「敷金ゼロ礼金ゼロの賃貸物件」のことですね。
ここまでは何となく知っている方も多いと思います。
どうせ同じ契約なら安い方がいい!と思うのはみな同じです。
実際、家賃6万円のお部屋を契約するとして、
①は敷金礼金ゼロゼロ物件、②は敷金1礼金1物件だったとすると、なんと初期費用(入居契約時に支払うお金)が12万円も違ってきます。
そんなに変わるならゼロゼロ物件の方がいいな。と思いますよね。当然だと思います。
【ベースは敷金1礼金1】
現代の賃貸住宅の相場観でいうと、敷金1ヶ月分、礼金1ヶ月分が俗にいう「普通」の状態だと思います。
今から10年以上前は、敷金2ヶ月分、礼金2ヶ月分というのが当たり前でしたので、そこから比較すると、だいぶ安く借りられるようになったなぁと思います。
とはいえ、「礼金」はその名の通り「家主さんへのお礼として支払うお金」になりますので、もちろん戻っては来ません。
礼金は昔からの名残で今も残っている形ですので「慣習」に近い位置づけになろうかと思います。
ただ、この礼金。意味がないわけではもちろんありません。
家主さんは、そもそも賃貸住宅を投資目的で運用している方がほとんどです。
そして、投資ですから、年間収支なんかももちろん計算しています。
メインの収益は家賃になるわけなんですが、家賃を安く設定した方が目に留まったりしますよね?
家賃が高い物件より安い物件のほうが「おっ??」となるのはみな同じだと思います。
そこで、賃料を安くします。でもそうすると年間収益はダウンしてしまいますし、損益分岐点を下回ったりしたら目も当てられません。
ですから、「礼金」があるんです。礼金を貰って収益をだすことで、賃料を低くした分をカバー出来るようにしているわけです。
なので、意味なく慣習だけで礼金を貰っているわけではない、ということはご理解いただけるとありがたいです。
まとめると「礼金は家主さんが入居者から契約時に受け取るお金で、戻ってこないもの」という事です。
これはあくまでも「一時預かり金」なので、退去する際には全額戻ってくるはずのお金です。
ただ、すべての物件が、入居者が退去した後にルームクリーニングを行います。
「使った方が入った時のようにきれいな状態にして返す」というなんとも日本らしいルールにのっとり住んでいた人がこのクリーニング費用を負担します。
通常なら「クリーニング代いくらなので払ってくださいね」で受け取って終わりでもいいんですが、どうせ敷金を返しますよね?
どうせ返すお金を預かっているわけですから、その一部をクリーニング代に充てて、残りを返した方が手間が少なくて楽なんです。
中にはあまりよくない入居者もおりますので、改めて「クリーニング代を払ってくださいね」と言ったところでバックレられてしまうなんてこともあります。その防止のために、という副産物的な側面もあります。
敷金は、借金でいう担保みたいなものでもあります。
もし入居者さんが家賃を1ヶ月分滞納したとします。払ってくださいと言っても支払をしなかった場合、
家主さんは、「敷金から充当する」ことができます。
そうすると、敷金がなくなることになるので、今度は「敷金を1ヶ月分」納めてくださいとなる感じです。
ざっくりいうと、「何かあった時に家主さんに迷惑が掛からないように、預けておくお金」でもあるわけなんです。
なので「敷金はあくまでも一時預かり金、退出時にクリーニング代分は引かれることが通例だが、原則全額返金されるべきお金」
礼金、敷金とはこんな感じです。
また、たまに聞かれるのが
「敷金、礼金て払わなきゃいけないんですか?」です。
結論から言うと「払わなきゃいけません」というか、「払わないと入居できません」と言うのが正しいかもしれません。
と言うのも、あくまでも賃貸物件に住むということは、「家主さんの所有物であるお部屋を借りさせてもらう」という状態なので、家主さんが「こういう条件で貸し出す」と決めた条件をのめないのであれば、当然そのお部屋を借りて住むことはできません。
先述のとおり、礼金はあくまでも入居契約時に、「このお部屋を貸してくれてありがとう!」と入居者が家主さんに対して払うお礼のお金。
稀に、「礼金払ってるんだから・・・」と言って、入居後に設備などのクレームをされるかたがいらっしゃいますが
そもそも礼金は、室内の設備などの状態や管理とは関係のないものなので、直接的に結びつけるべきものではないんですね。
(とはいえ高いお金を払って入居しているのも事実。お気持ちがわからないではないのですが・・・)